第二部 西の大陸 【2003/8/4連載開始:2005/1/26連載終了】 第二部開始のご挨拶     

聖地の森TOP 神鳥の瑕TOP 

◆いただきもの◆ ……2003.8.19

第一章 西の地に 
  

第二章 聖地、見えない星 
         10 11 12 13 14 15 16 17 

第三章 砂の城、虚像の楼閣
      

第四章 鐘声、それぞれの場所
        

第五章 月の涙、枯れ果てて
         10 11 12 13 14 15 16

第六章 帰路、確かに在る印 
         10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22


第七章 光の道、遙かなる処
         10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21


第八章 蒼天、次代への風 
         10 11 12  13 14 15 16 17 18 19 20


21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 あとがき 

 

第二部第八章までの【人物紹介と地図】に地図を掲載しました。
 

 

第二部第六章までの【人物紹介と地図】

【前回までのあらすじ】

第八章
32 33 34 35 36
 全てが明らかになりジェイド公は、死を覚悟するが、教皇もクラヴィスもそれを望まず、新生スイズの為に尽くすよう進言する。考えた末、彼は自分なりの決着をつける。そして、秋になり、クラヴィスは、次代を継ぐ者となる。
第八章
28 29 30 31 
 スモーキーたちは、迎賓館での食事に歓喜の声をあげる。その席で、スモーキーきクラヴィスが教皇の息子であることを告げる。一方、クラヴィスは、教皇と皇妃と共に静かな夜を迎えていた。セレスタイトの事を知ったクラヴィスは複雑な気持ちになりながらも、次代の教皇になることを承諾する。翌日、スモーキーたちは、リュミエールの手助けをするためにスイズ城へと向かう。
第八章
26 27 
 ついに教皇庁入りを果たしたスモーキーたち。大聖堂に通された彼らは、教皇、皇妃との謁見が叶う。平伏す彼らの中に、クラヴィスがいることに気づかない教皇は、スモーキーの嘆願と報告に、真摯に耳を傾ける。鉱夫たちは、迎賓館での宿泊を許される。スモーキーは、まだ話があるからと、クラヴィスだけを聖堂に残してその場を去る。そして……。
第八章
23 24 25
 とうとう王族を追いつめた民たち。王たちはその中にリュミエールの姿を見て驚く。リュミエールを王に、という民の声に、保身の為に王は承知する。歓喜の声が上がる中、暴動は終結に向かい、リュミエールは、教皇庁へ報告の早馬を出し、スモーキーたちにも早く教皇庁に向かうよう勧める。その早馬が到着し、教皇は事の顛末の報告を受けるが、それを影で聞いていたのは、ジェイド公とその腹心の武官であった。新しい時代の到来が自分にとって栄光のものであると信じて疑わないジェイド公でだった。 
第八章
20 21 22
 
 翌朝、民たちは王城へと向かった。豪奢な城を固める衛兵たちは無言で、表れた文官は“善処する”と同じことを繰り返すばかり。業を煮やした民が騒ぐと、アジュライトが見張り塔から、直接、民に語りかけた。だが、その内容は民を思いやったものではなかった。さらに広場に残っていた怪我人たちが兵に連行され、その時のことが元で長老が死んだとの知らせが届く。それが引き金となってついに暴動が起きる。
第八章
16 17 18 19
 広場での乱闘の後、北部の者たちは王族に対する怒りを募らせる。兼ねてからの計画通り、王を討ち、議会制政治をひらくと共に代わりの新王としてジェイド公を推そうとしている事をジンカイト、スモーキーに話した。ジェイドの真の人柄を知る二人は当然反対する。 他国や貴族たちの対面を保てる身分の者は、ジェイド以外にはいないことを理由にサルファーは、彼を諦めきれない。だが、スモーキーは彼に代わる唯一の人物の存在に気づく。
第八章
13 14 15
 橋の衛兵の元に別の騎兵がやって来た。北部からも民が押しかけているという。スモーキーたちは、一気に王都へと入る。ジンカイトたちは王城へ、スモーキーたちは教皇庁へ向かおうとするが北部の者と合流することになる。北部の者たちのリーダー、サルファーは、嘆願書を既に出しており、王からの返答を待って広場に待機しているのだという。スモーキーが、北部での様子などを話し終えた時、広場にスイズの騎兵隊と歩兵がやって来た……。
第八章
 10 11 12 
 その頃、スイズ王城では、相変わらず、王座を巡って、皇妃、寵妃とそれぞれの王子が対立していた。一方、ジンカイトたちは、ついに王都近くまでやって来た。様子見に先行していたゼンたちは、川岸で余所から来た同志の男たちと合流するが、スイズ兵に見つかってしまう……。 
第八章
 
 スモーキー一行は、ジンカイトたちと同行することになった。道中停泊した所で、クラヴィスは、ルヴァが手にしていたブローチに気づく。同じデザインのそれに驚く彼らは、やがてクラヴィスにしか見えないはずの『聖地』が見えることに気づく。
第八章
   
 
 穏やかに見える山間部の農村地帯でも、状況は思わしくないようだった。スモーキーたちは、王都への道を急ぐ途中、休息の為に立ち寄った林で、前日、酒場で会った男たちと遭遇する。彼らはスモーキーたちの王都行きを止めさせようとするが、その時、ジンカイトという人物が現れた。 
第八章
  
 
 教皇庁向かう旅路で、クラヴィスは何かを感じる。それはこの地を去りゆくセレスタイトの気配だった。そして一行はヘイヤを抜けスイズの山間部にある農村地帯に入った。
第七章
19 20 21
 闇の守護聖は、教皇と皇妃に重大な事を告げ、セレスタイトを聖地へと連れ去った。
二人は、最愛の息子とは二度と逢えないことを嘆きつつも、セレスタイトに笑顔が戻るのを信じるのだった。
第七章
18
  セレスタイトが約束の時間になっても現れないので、教皇と皇妃は、散策がてら彼の執務室に向かうことにした。その途中、教皇はとうに自分の中から失われたはずの聖地よりの力の気配をどこかに感じた。クラヴィスが戻ってきているのではないか?と彼らはセレスタイトの執務室へと走る。そして、扉を開けた時、そこには……。
第七章
16 17
 その頃、教皇庁では、戦争の影響で苦しむ民の様子にセレスタイトは心を痛めていた。体調も思わしくない彼は、意見をしにやってきた伯父ジェイドの去った後の執務室で、胃部の激痛に襲われるが……。
第七章
13 14 15
 クラヴィスが鉱夫になった経緯を話した後、さらに彼が、次代の教皇になるべき力さえも持っていたことを知り、スモーキーたちは驚く。クラヴィスは、彼らしの話を通して、自分の意志を固めていく。やがて朝の光の中で、クラヴィス、リュミエールたちは、心も改に、教皇庁へと迎う旅を続ける決意をするのだった。
第七章
12 
 リュミエールがスイズの第三王子であったことを知ったスモーキー。その驚きも冷めやらぬうちに、今度はクラヴィスが教皇の子である事を知る。
第七章
10 11
 
 何かを抱え込んでいるようなクラヴィスの姿に、スモーキーは、それを吐き出すように進める。と同時にリュミエールにも……。
まず、スモーキーは自分の過去について話し出したのだった。
第七章
 線路を越え、一旦、ヘイヤ側へと渡った一行だが、追っ手の不安から逃れられたわけでない。疲れた心身のまま、夜を迎えた皆は、大きな木の根元に横たわる。だが、クラヴィスだけは、皆から離れた場所に独りいた。あの“悪夢”が襲ってくるのが判ったからだった。深夜、魘されるクラヴィス。ようやく“それ”から解放され目覚めた時、側にいたスモーキーは……。
第七章
  
 採掘現場を出発と、教皇庁へと向かったスモーキー一行。その道中、ルヴァ、リュミエール、クラヴィスは、彼らなりのペースで親しくなっていった。出発して数日、随分、南下し、大陸横断列車の線路付近まで移動した彼らだが、そこで追っ手に見つかってしまう。
 一番足の遅い年寄りの鉱夫が自ら名乗り出ることによって、スモーキーたちの犠牲となり捕まる。
第七章
  
 
 スモーキーと同行することを決めたクラヴィスは、皆が集まっている食堂に行った。リュミエールは、はっきりとクラヴィスの姿を見て、唖然とする。クラヴィスの回りに人が少なくなったのを待って、リュミエールはクラヴィスの側に行った。お互いの事が知れた後、クラヴィスは、ガネットに別れを告げに行く。
第七章
  
 教皇は、苦悩の末、セレスタイトに、次代の教皇になるように進言する。そして、自分にはもう“聖地は見えず”、聖地よりの力は、まったく無くなったのだと告白する。新教皇が誕生することによって、世の中が良い方に動くとの説得を受け、セレスタイトは、秋に即位式を行う決意をする。だが、ぎりぎりまでクラヴィスを待っているつもりだと答える。
第六章
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 クラヴィスたちは、旧坑道を行く。ようやく地上に這い上がり、待っていた者たちと再会を喜び合うのだった。助かった彼らは、スモーキーが、いたことに驚き二重の喜びに沸く。汚れを落とした後、食堂の外でぼんやりしていたクラヴィスは、スモーキーから、教皇庁へ一緒に行こうと誘われる。かって自分がとった行動に疑問を抱くようになっていたクラヴィスは、戸惑いながらもそれに同意したのだった。
第六章
17 18
 その状況をゼンから聞いたスモーキーは、採掘現場へと急ぐ。これ以上の暴動を恐れた役人たちは、他の現場に助けを求めに逃げ、鉱夫たちだけが、水の流されてしまった坑穴の前で、力無く座り込んでいた。スモーキーたちは、皆の前に姿を現し、坑穴内の者を助ける術はないかと探る。旧坑道の存在を古参の者が思い出し、その事を知っているクラヴィスに皆は、最後の望みをかけ、彼らが自力で上がってくるのを待つことにした。
第六章
14 15 16
 スモーキーたちは、採掘現場に近い林に身を潜め、旅の支度や周辺の様子を探っていた。一方、採掘現場では、劣悪な環境中、クラヴィスたちは役人に急かされて、坑穴へと入る。だが、坑道内でガスの発生及び火災が起こり、クラヴィスたちは閉じこめられてしまう。中の者を救おうと、鉱夫たちは必死になるが、役人は、人命よりも坑穴が痛むことを恐れ、安易な解決方法を取ろうとする。溜まりかねた鉱夫は役人と衝突し、現場は収拾のつかない状態となった。
第六章
11 12 13
 翌朝、スモーキーたちは、出発の準備をし出した。彼らの行く先もまた自分たちと同じであると知ったルヴァとリュミエールは、戸惑いながらもともに出発する。リュミエールはその道中、皆の為に竪琴を奏でる。その頃、教皇庁管轄地にあるダークス採掘場では、クラヴィスが、賃金を搾取つれたらしい仲間の為に計算をしてやっていた。スモーキーがいなくなったことで各地のある採掘現場の労働条件は悪くなっていく。
第六章
 10
 スモーキーたちとの夕飯の終わった後、視察に出ていたゼンという少年が、スイズ軍やルダ王都の情報を持って戻って来た。スイズの末の王子、すなわちリュミエールが、拉致され殺害されたという噂に、ルヴァとリュミエールは愕然とする。リュミエールは、それが兄の策略ではと考え、身の危険を感じ、王都やスイズには戻らず、教皇庁に行く決意をするのだった。 
第六章
   
 ルヴァとリュミエールは、出逢った男たちに、村から離れた坑穴に連れて行かれた。そこには、スモーキーという男を頭に、何人もの鉱夫たちが身を隠していた。
 ルヴァたちは、スモーキーから、村が崩壊した経緯と原因を知る。ショックを隠せないルヴァに、リュミエールはただ寄り添っていることしか出来なかった。
第六章
   
 ある鉱山の採掘現場の集落で。時折苛まれる悪夢の一夜を乗り切るために、酒場の女ガネットの元に通うクラヴィス……。
 一方、ルヴァとリュミエールは、『月の涙』で野宿した後、一旦サンツ渓谷入り口の村まで戻ろうとする。だが、見知らぬ男たちで出くわした……。
第五章
14 15 16
 砂漠地帯へと入り、いよいよルヴァの故郷の近く、サンツ渓谷の入り口にある村へと着いた。その村は、ダダスとスイズの戦いで、畑を失ったという。隣村で何かあったらしいという話を聞いた二人は、翌朝、故郷へと急ぐ。そこで、ルヴァとリュミエールの見たものは……。
第五章
10 11 12 13
 南部行きの駅馬車に乗り込んだリュミエールは、道中の村で、ルヴァに旅の同行を請う。だが、リュミエール付きの文官が後を追って来た。リュミエールの強い態度に、文官は、旅へ出ることを、何か画策していることを隠して了解する。
 リュミエールは、ルヴァの従者ということで身分を隠し、南部への旅を続けることに。 
第五章
  
 情勢の悪化に伴い、その身柄の安全の為と称してルダ城内の塔に移されたリュミエール。お付きの者たちは、スイズへ帰国したり、ダダスとの戦いに備え慌ただしく動き回っていた。人質としての役割しか与えられず、その命さえ利用されようとしていることにリュミエールは悲しみを募らせる。やがてその気持ちは抑えられない苛立ちとなるのだった。
第五章
   
 ルヴァの故郷のある南部で、スイズとダダスの衝突があった。ルヴァは居ても立ってもおられず、視察を兼ねての帰郷を願い出る。しばらくの間、個人授業の休みをリュミエールに伝えに来たルヴァだった。明日、故郷に向けて発つという前日、フローライトから呼び出されたルヴァは、いつもの図書館の一室で、彼女もまたダダスに帰ることを聞かされる。
第五章
  
 個人授業を通して、リュミエールとの間に友情に似た信頼関係を持つようになったルヴァは、フローライトとの間にも仄かな愛情を通い合わせていた。そんな穏やかな日々だったが、冬の寒さがようやく底を抜けた頃、スイズとダダスの関係は一気に悪化して行ったのだった。
第四章
 ルダの都で、教皇庁の大聖堂で、そしてうらぶれた鉱山の町の酒場で。それぞれの場所で新年を祝う鐘の音を聞きながら、一年を振り返り、また新たな年へと思いを馳せる彼ら……。
第四章
   
 リュミエールは、ルヴァとの年内最後の授業の日、いつもより早く客間に行き、そこで側仕えたちの実母の死因に触れる噂話を耳にしてしまう。心の定まらぬまま、ルヴァの授業を受けるリュミエールに、ルヴァは何かあったのかと察する。心のうち解ける相手のいなかった彼は、ルヴァに苦しい胸の内を話し、ルヴァもまた自分の故郷の事を話す……。 
第四章
  
スイズとダダスの情勢が悪化する中、ルダ音楽院に留学したリュミエールは、比較的平穏な日々を過ごしていた。そんな中、彼の新しい教師としてダダス大学を卒業したルヴァが 赴任して来た……。
第三章
 
ルダ国に音楽院に留学が決まったリュミエールだが、心は晴れない。次期王座を巡って、王族はバラバラになっているからだった。そんな関係から一時でも逃れて他国に行くことに希望を見いだそうとするリュミエールだった。
第三章
  
 スイズでは次期王座を巡って、上の王子と中の王子アジュライトの間で、不穏な気配がしている。アジュライトは、王座を手に入れるための一歩として、リュミエールを手駒に使おうとする。アジュライトの策と彼の野心に少なからず感心したスイズ王は、リュミエールのルダ国立音楽院留学を早急に決め、アジュライトの手腕を計ろうとしていた。
第三章
 
 14歳になったスイズ王子リュミエールは、王族内の何かを含んだような雰囲気を感じ始めつつも、竪琴の腕を上げ、演奏会の為に定期的に教皇庁に赴くようになっていた。
 一方、教皇庁では、リュミエールの演奏会を前に、教皇一家が執務室に集まっている。彼らの話題は、自然と、三年前に行方不明になったクラヴィスの事になる……。

第二章
17
 ようやく到着した鉱山の町。この旅の目的である伯父の墓参に行った帰りに、共の武官に勧められるままに、寄り道をしたクラヴィスは……。

第二章
14 15 16
 大陸横断列車での旅が始まる。スイズや教皇庁以外の土地を車窓から長めながら、クラヴィスはようやく、西の辺境にある終着駅ガザールへと着く。
 そこから伯父の墓のある鉱山地帯へと移動する途中、目の当たりにした大山脈に心を奪われていたクラヴィスは、誰かの声を聴く……。

第二章
12 13
 いよいよクラヴィスの旅立つ朝が来た。兄セレスタイトは、見送りの途中に、クラヴィスに少し辛辣な事を言う。クラヴィスの事を思いやっての発言に、今更ながら自分の未熟さを感じるクラヴィスだったが、兄の想いに応えるべくしっかりと頷き、セレスタイトと別れたのだった。
第二章
11
 気持ちの鬱ぐ日々を過ごすクラヴィスは、父の書き記した書物を取るに行く為に、塔の地下室へと向かう。その部屋で、クラヴィスは、歴代の教皇たちが残した品の中から、古い宝飾品を見つけた……。

第二章
  10
 古い塔の上で、クラヴィスは、父より、『教皇』という存在について聞かされる。結局、教皇、聖地……については、自分なりの答えを見いだすしかないのだという父の言葉に釈然としないクラヴィスだったが、この事により、父との絆が強まった気が、していたのだった。

第二章
 
 クラヴィスの伯父の事を調べていたジェイド公が、教皇庁にやって来る。そしてクラヴィスに、伯父の墓参させてはどうかと提案する。教皇は、良い機会だとそれに賛成した。
 その夜、クラヴィスは教皇の私室に呼ばれ、皇妃、セレスタイトのいる前で、次期教皇の事を告げられる。戸惑うクラヴィスに、教皇は、大聖堂の奥にある教皇の間へと誘う。

第二章
 翌日、教皇は、皇妃とセレスタイトに、次期教皇がクラヴィスになる事を告げる。セレスタイトは、それを喜び、教皇の心配を余所に受け入れたが、皇妃の心境は複雑で、つい
スイズ国に公領を持つ実兄に、その事を話してしまったのだった。

第二章
   
 大広間で、スイズ王子リュミエールは、竪琴を演奏した。普段は物静かな彼だが、その才能を教皇の前で示すべく予定と違う曲を奏でる。人々の心にその才能を印象づけて演奏を終えたリュミエールは、疲れを覚え客室に下がる。夜風に誘われるように出た客室のテラスから続く裏庭で、リュミエールはクラヴィスに出会う。礼儀的な挨拶だけを交わす二人……。

第二章
  

 

 教皇庁旧聖堂で夕暮れのひとときを過ごすクラヴィス。そこに宴が始まったと、兄セレスタイトが迎えにやってきた。優しい兄に促され、大勢の客人の待つ大広間へ向かう二人。宴もたけなわとなった頃、クラヴィスが、そっと席を中座し、バルコニーにいると、教皇である彼の父がやってきた。二人して夜空を見上げてるうちに、教皇は、クラヴィスが、その身に聖地よりの力を宿さない限り見えないはずの星が、見えている事に気づく……。
第一章
  
 西の大陸の頂点に立つ教皇庁。教皇の第二子クラヴィスは、小さく古い聖堂に自分の居場所を見いだしていた。多感な年頃の少年である彼は、己の心の裡にあるもの……の存在にまだ気づくことなく、日没のひとときをそこで過ごすのを日課にしていた。
 大国スイズの第三王子リュミエールは、 まだ幼いが芸術的な分野に才能を見せ、異腹だが二人の兄と共に王家らしい優雅な世界に身を置いていた。それが虚飾であると知ることもなく。
 ルヴァは、故郷の村から、隣国にある大学に向かう道中であった。自分自身の希望よりも、貧しい村や家族を救うために、片道だけの費用を持って彼は砂漠を越えようとしていた。

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