第四章 鐘声、それぞれの場所

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 リュミエールが、ルダに旅立ち二ヶ月が過ぎた。新年を迎える為の用意で、スイズの王都の民は、裕福とは言えない者たちでさえも何かしら浮き足だったような明るさの中で慌ただしくしていた。だが、それとは裏腹に城内では、下働きの者たちが掃除に精を出すくらいで、国務に携わる者たちの間には殺伐とした雰囲気が漂い始めていた。それでまで紛いなりにも家族であるという形を認識させていた週に一回の王族の昼食会も、リュミエールがいなくなったことで“多忙”の名の下に行われなくなっていた。王妃と寵妃はもちろんの事、上の王子と中の王子の間は決定的に破綻し 、臣下の者たちの間にも、水面下で二人の王子を巡って派閥が生まれていた。スイズ国王は、それらを黙殺し、不穏な動きの続くダダスとの関係や、教皇庁との絆を強めることにのみ従事していた。
 その教皇庁では、一見、何事もない穏やかな日々が流れているようではあった。スイズとダダスの関係の悪化は、教皇庁としても頭の痛い所ではあったが、一応は各国の国政に関与せずの形を取っている以上、先回りして和平工作に出るわけにも行かず、ただ見守るしかない状況だった。教皇とセレスタイトは、毎日、教皇庁管轄地にある鉱山や田畑から得た収支報告に目を通し、聖地に捧げる祈りを繰り返しながら、息を潜めるようにして生きていた。明日にはクラヴィスが戻ってくるかも知れないと淡い期待を抱きながら……。

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