第七章 光の道、遙かなる処

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 年老いた鉱夫二人が連れ去られた後、しばらくの間、葦の原でじっとしていた者たちが、一人、また一人と立ち上がり始めた。一様に暗い顔をしている。
「じいちゃんたち、自分たちの足が遅いのを気にしてたから……」
 サクルが涙目になって言った。
「俺たちを逃がすためにあんな嘘までついて……」
「現場に戻されたら……、ちくしょう」
 葦を掴みながら悔しそう項垂れる鉱夫の言葉に、皆は静まりかえった。
「契約違反者は、鞭打ち百回か、三ヶ月間ただ働きかの罰則がある」
 クラヴィスは、横にいたルヴァとリュミエールに小声で説明した。
「そんな……」
 リュミエールは、思わず口元を押さえる。
「契約に違反したことはいけないことかも知れませんが、そんな酷い刑罰があるなんて……教皇様はご存じなのですか?」
 リュミエールの言葉に、大男が、忌々しそうに鼻で笑った。
「規約があるとはいえ、この管轄地の鉱夫の扱いは、スイズに一任されているんだ。誰がどんな処罰を行われたかまでは、教皇様のお耳にゃ入らねぇさ。入ったところで、そんな事実はありませんと答えればそれまでよ。鞭打ちどころか、見せしめの為にもっと酷い刑だってあるんだぜ」
 大男が低い声で言うと、リュミエールはいたたまれない気持ちになって俯いた。
「スモーキー、さっきの兵士たちは、現場から逃げた者だけを追っていて、お前の事は言ってなかった……」
 クラヴィスは、眉間に皺を寄せて憮然とした顔で立っているスモーキーに向かって言った。
「ああ、判ってる……現場の連中、俺たちの事は黙っていてくれているんだ。なんとしても教皇庁に辿り着いて訴えないとな。行こう……捕まったじいさんたちの為にも少しでも早く……」
 スモーキーは、しょんぼりと項垂れているサクルの方に手を置いた。
「うん」
 彼らは、しばらく歩き続け、大陸横断列車の線路が走る土手に辿り着いた。まっすぐに西へと延びる線路は、スイズ王都へと繋がっている。追われていることがなければ、ここを歩き続けていくのが一番早く楽なルートである。
「さあ、ヘイヤ側に行くぞ」
 未練がましく線路の上を歩いていたゼンとサクルに、大男が声をかける。残念そうに二人は、土手を駆け下りた。夕陽が赤く草原を染めていたが、その美しさを見る余裕もなく彼らは、今夜の寝床になるような場所を求めて歩き続けるのだった。

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