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  西洋東洋を問わず集められた調度品と、天蓋つきのひときわ豪華な寝台。二匹の金龍が、瑠璃と珊瑚の玉を口にくわえて絡み合う装飾が施された朱塗りの寝台に、真紅の絹のガウンを着て眠るオリヴィエがいた。
 さらに、緑の覗いている場所と対面にあたる向こう側の壁にもほんの小さな四角い灯りが漏れている場所があった。

(あの位置は……【弐】の部屋だな。さてはさっき俺を追い越して行った紳士が入ってるのか……寝姿を売る……とオヤジどもが言ってたのはこういう事だったのか……)

 ふと、扉の開く鈍い音がし、緑は、視線をオリヴィエから外してその音のする方を見た。小さな隠し窓から見る視界は狭いが、オリヴィエの眠る部屋の角にある扉から、誰かが入ってきたようだった。
 鋼のように浅黒い肌をした彫りの深い美しい顔立ちの男が、オリヴィエの寝台まで進み、無言のまま、羽織っていた黒いガウンを脱ぎ捨てた。
つややかに光る裸体。
 さらに……その青年の後に、今度は金髪碧眼のこれも滅多にお目にかかれないほどの整った顔立ちの未だ若い男が控えており、同じようにガウンを脱ぎ捨てた。
 透き通るほどの白い肌の裸体は、いきなり黒い裸体と絡み合って、お互いの体を一通り撫で回した後、微笑みあって、今度は寝台の上のオリヴィエの真紅のガウンを剥ぎ始めた。

「うぅ〜ん……」
 と小さな声とともにオリヴィエは寝返りを打つ。すっかりガウンを脱がされてしまってもまだ起きない天使の足を、片方づつ男たちは持ちあげて、優しくオリヴィエの体を撫で回し、舐め回してゆく。
「あぁ……」
 と緑はその様子を小窓から覗き見て思わす声をあげた。
(たかが見せ物に…………クソッ)
 と毒づきながらも緑は、そこから目が離せない。
 眠ったままのオリヴィエは、心地よい快感だけは感じているのか時折、眉間に皺を寄せて、あぁっ……と呟く。
 それはもう、あどけない子どもの表情ではない。緑は、オリヴィエにそういう顔をさせているのが自分であると錯覚しそうになり、己の高ぶりを押さえきれない。今直ぐにこの壁をぶち破り、オリヴィエの元に行きたいと緑は思った。それ以外にこの荒ぶる剣を納める術は無いと……。

 

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