7 「出でよ、火龍!サラマンダー」
「あの、おかしいでしょうか?」とリュミエールは心配そうな顔で問いかける。オリヴィエの用意したサクリア仮面ブルーの衣装を身につけた彼は恥ずかしそうに佇む。
「ううん、そんな事ない、よく似合うよ、リュミちゃんって着痩せするタイプだったんだ……結構、胸板厚い……」オリヴィエは体の線がハッキリわかってしまう黒い衣装の胸の部分をトンと叩きながら誉める。オスカーの方は自信満々でファイティングポーズを取っている。
「アンタは何も言うことないね〜、まったく、にぎやかになっちゃって」
とオリヴィエは苦笑する。
「申し訳ありません、わたくし足手まといにならないようにがんばりますので」
とリュミエールはクラヴィスの方をチラッと見ながら頭を下げる。
「何言ってるの、結構強いって聞いたよぉ」とオリヴィエはウィンクする。
「一応、武術は身につけておりますが、実戦経験があまりありませんし……」
「そのように萎縮せずともよい。ジュリアスが参加した時から、こうなるのではと思っていた」
とクラヴィスはジュリアスの方をジロリと見た。
「よいではないか、今日のような事件の場合は多数の方が圧倒的に有利なのだからな」
とジュリアスはソッポを向く。
「ねぇ、今日の相手の屋敷にはボディカード百人って本当?」
「本当だ、今まで私が手を出せなかったのは、それがあったからだ」
とクラヴィスは苦々しい顔をした。
主星首都ルアン市に根付くマフィアの一味、その組織の中にあっても『残虐のジムサ』と呼ばれる男が本日の相手である。
「さすが主星マフィアのナンバー2ってとこね、ま、なんにせよこっちは五人になったんだし一人当たり二十人やっつければいいんだからなんとかなるよ」
オリヴィエはアクセサリーをいじくりながら言う。
「今回は私のホーリー・シャイニング・アタックも思い切り効果がありそうな相手だしな」
とジュリアスも意気込む。
「……そろそろ行くか……」クラヴィスが呟くと皆の中に一瞬緊張が走った。
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