翌朝……鏡に映る自分の顔にオスカーは嫌気が指す。殴られた後が薄い痣になっている、酒のせいで顔は浮腫んでいる。

 胃酸が逆流してきそうになりながらも、いつもと同じ時間に起きられたのは、何故だ?

 オスカーは自分に問いかける。体の中に残るジュリアスの意識……誇り高いサクリアの感じのせいか。

(確かめなくては、昨日の事を……)

 オスカーは吐きそうになりながらも身支度を整える。とその時、ドアをノックする音が聞こえたのでオスカーは「入れ」と声をかけた。側仕えが水を運んで来たのだろう……と思ったのだ。

 マントの留め具を付けながら顔を上げずにオスカーは「そこに置いといてくれ、朝食はいらん、すぐに執務室に行く、用がないなら下がるように」と言った。たとえ側仕えでも腫れた顔は見られたくないとオスカーは思う。

「かしこまりましたと言いたいところだか用があるので」と言われてオスカーは驚いて顔を上げる。

「あ、ジュリアス様」

「そなた、昨日の下界での騒ぎ、少し行き過ぎではないか」

「すみません……俺は……」オスカーは俯きながら訥々とスポーツバッグの中身の事で悶々としていた気持ちを話す。ジュリアスもサクリア仮面になった経緯をオスカーに話す。

「そうだったんですか……でも俺にも声をかけて欲しかったです」

「いずれは……と思っていたが、知られなければそれでもいいと思っていた。危険な事も多い、あまり皆を巻き込みたくなかった」

「危険な事が多いなら尚更、俺は貴方の側にいて、貴方を補佐したいです」

 オスカーはジュリアスを真っ直ぐ見つめて言う。

「オスカー、では、これからは一緒に……いいな?」

「はいジュリアス様、俺はサクリア仮面レッドとして週末は貴方とともにっ」

 


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