5 「俺たちの知らない秘密が何かある……」


 オリヴィエがサクリア仮面に加わってから、小さな事件を適当にあしらいつつ一ヶ月が過ぎた。新しい衣装も体に馴染み、主星の民にも三人は「サクリアーズ」と呼ばれ人気はウナギ登りである。

 

 クラヴィスはジュリアス執務室で書類に目を通していた。サクリア仮面としてのもうひとつの顔を持つようになってからの方が本来の職務に精が出ている。サクリア仮面としての行動が無気力だったクラヴィスの生活にメリハリを与えて良いストレス解消になっているのだ。以前に比べて顔色も良く虚を見ていたような瞳にも本来の暖かい色が戻っている。その姿にジュリアスは遙か遠き若き日の事をふと思い出す。

 クラヴィスは木登りが上手かったな……故郷を思っていたのか、枝の上に腰掛けてずっと空を見ていた幼いクラヴィスの姿……。(そうしているとそなたはカラスのようだな、ははは)と下から笑うと無言で降りて来ていきなり私を殴りつけたのだったな……私を殴ったのはこの世でそなたただ一人だ……

「……という結果か? それではこのエリアの発展状況は……ジュリアス、聞いているのか?」

「あ、いや、すまぬ今一度」立場が逆になった二人は小さく笑い合った。


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