2 「我が光の攻撃を受けてみよ」


 光の守護聖ジュリアスの朝は早い。身支度を完璧に整えて優雅に朝食をとる。二杯目のお茶を側仕えがカップに注ぎ終える頃に、執事が恭しく新聞を運んでくる。

「ジュリアス様、主星タイムズでございます」と。

「ああ、ご苦労」とジュリアスは新聞を受け取り、第一面政治欄から順に目を通す・・・のだったが今日は違ったのだった。ジュリアスはドキドキしながら新聞の社会面を開く。目に飛び込んで来る、あのニュース。

 

 大スクープ!なんと!サクリア仮面にゴールド登場!!
  昨日午後九時、ルアン市郊外の金融業者宅にサクリア仮面が現れた……
  サクリア仮面は二人組でうち一人がサクリア仮面ゴールドと名乗った……。

 

 記事は昨日の事件のあらましと供にサクリア仮面ゴールドの写真がドドーンと載っていた。ジュリアスの体は昨日の立ち回りを思い出し熱くなる。

 その三日前……。クラヴィスの用意したファイルの中からジュリアスは頃合いの事件を探している。

「大事件ならば主星の警察が動くであろう。サクリア仮面は警察が動けぬ法の目を潜ったような事件を扱うのだからな、それでこそ民の為の正義の味方だ」

 そうクラヴィスに言われるとジュリアスは一件の事件を選び出した。あこぎな取り立てをしたある金融業者の事件である。この金融業者絡みで死者が五名出ている。いずれも執拗な取り立ての末、自ら命を絶った……ということになっている。

「調べてみたところでは、わざと自殺に追い込み保険金や残されたわずかな財産を奪ったりしていた。その手口はかなり汚いものだった」

「警察は自殺ということでは逮捕はできぬ……か」

「ああ、自害した男の娘からサクリア仮面宛に嘆願書が届いているのだ、もちろん直接ではないが」

 クラヴィスは新聞を取り出し「このページを読んで見よ」と差し出した。

  <このようなお願いを貴紙に送ったことをお許し下さい、
   でもどうしてもサクリア仮面に伝えたいことがあって…………>

 後は切々とどれだけあこぎな取り立てが続いたかが書かれていた。

「ゆるせぬ、私が成敗してくれる」ジュリアスの正義の血が煮えたぎる。


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