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 ウォン・セントラルカンパニー受付嬢、クリスティーヌ。彼女がミス主星の栄冠に輝いたのは、学生時代の二十歳の時。『まさに奇蹟の美』……賛美の嵐が翌日のメディアを賑わせた。ミス主星としての一年間の任が解かれた後、主星芸能界で女優として本格的にスタートを切るべく準備中だったある日、所属していた事務所から今後の身の振り方を打診された。事務所のマネージャー曰く……。

「君はハッキリ言って演技力が皆無。演技が下手な新人が主役の作品は、そのフレッシュさがウリで、完璧すぎる容姿を持つ君は、新人でありながらゴージャス過ぎて、初々しい可愛らしさとは無縁。第一、君と釣り合う共演者がいない。同じ年頃の女友達……という設定では、引き立て役になるからと誰もなりたがらない。君と釣り合う美貌の子もいるにはいるが……二人並べると絵面が……くどい。ビーフシチューとカレーが並んでるみたいで」
 追い打ちをかけるように、横にいた社長も溜息をついてこう言った。

「相手役もいないんだよなあ。君に会う青年が。どうしてもそこそこ年上のゴージャス系の大人の男性しか似合わない。となると爽やかな恋愛ものは望めず、歴史ものなどストーリーのある大作になってしまう。が、それをこなす実力がない。美貌が過ぎるだけに演技の下手さが目立つ。その顔ではバラエティはとうてい似合わないし、レポーターなども不釣り合い。モデルという手もあるがナイスバティ過ぎる。とにかく何をするにしても使いにくいんだ。とはいえ本当に君は美しいから仕事がまったくないわけじゃないんだ。高望みしない仕事ならいくらでもある。化粧品などのCMのオファーなら山のようにあるし。ただまあ先の事を考えると、とんとん拍子には行かないだろう。いきなりだが、汚れ役かいっそ脱ぐことも視野に入れた方がいいと……」
 
 クリスティーヌは、あっさりそのブロダクションを辞める決意をした。
 
 まったく私を誰だと思ってるのよ、歴代のミス主星ナンバーワンの美貌の持ち主なのよ! なによ、こんな三流事務所、こっちから辞めてやるわよ……と。

 

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