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 12月28日、本日はウォン・セントラル・カンパニーの仕事納めである。午前中、各々やり残した雑務を片付けたり、挨拶回りなどに出向いた後、午後から社内の大ホールでは毎年恒例の忘年会が行われることになっている。
 忘年会は持ち回りで毎年幹事となる部署が変わる。今年は、秘書部特殊一課……つまり、チャーリー・ウォン専属ブレーンたちの課が担当することになっていた。もちろんジュリアスもそのメンバーの一人である。
 ブレーンたちは午前中からこの準備の為、ホールに詰めており、チャーリーは一人、社長室に取り残されていた。彼自身は最高経営責任者であって、秘書部特殊一課の人間ではないから、ハミゴにされているのだ。

「一時十分前……もうそろそろ大ホールへ行ってもエエ時間やなー。今年のメニューは何やろなあ……ジュリアス様いうたらそれくらい教えてくれてもエエやんかー」
 ブツブツ言いつつも、ここ数日のジュリアスの姿を思うとチャーリーは、どこかクスクスと笑えてくるのであった。忘年会の幹事など未経験のジュリアスは、戸惑いつつもスタッフたちと何やら楽しそうにしていたのだ。 チャーリーは、時計をもう一度チラリ……と見て、引き出しの中から小さな包みを取りだした。毎年恒例のブレゼント交換会の品である。ランチ代ほどの予算で買った贈り物を参加者全員で交換するのである。男女兼用のハンカチや文房具類といったまともな物から、受け狙いの悪趣味な品まで誰に何が当たるかは判らない。毎年チャーリーは 、翌年のラッキーカラーのマグカップをプレゼントすることにしている。無難なプレゼントの部類に入るが、カップの中には、『社内ランチ・二人きりで一緒にね(はぁと)券』が忍ばせてあり、交換会の大当たり品として好評を博している。

「ジュリアス様は、どうも写真集みたいやったな……この間、会社の帰りに本屋に立ち寄った時、コソコソッと買うてはったんを見逃す俺やないでっ」
 大きな独り言を言いながら、チャーリーは、社内の二階にあるホールへと向かった。
 

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