「ずずずずずずーっ、ずるずる」
「なんなのだ、この星はっ、何故、銀貨一枚でこんなものしか買えぬのだ」
「ずずずずずー、ずるっ」
クラヴィスはカップ麺をすするのに必死である。
「聞いたかっ、先刻の宿の主らしき男の言い方っ、この銀貨40枚ほど持ってきてもらわねばお泊めできません……だとっ、このジュリアスにっ」
「ずーーーーーーーっ、ずるずる」
「おまけに、あのコンビニとかいう所の男、私たちを見るあの白い目は何なのだ」
「ごくごく、ごくっ」
「昼間の乙女たちとは雲泥の差ではないか」
「早く食さぬと冷めるぞ、暖かい湯までくれたのだ、なかなか親切な男ではないか」
「くっ……私がこのようなモノを、ましてや、こんな小枝で食さねばならぬとは」
ジュリアスは割り箸の扱いができず、上手く麺を食べられない。
「ジュリアス、握り箸はこの星ではマナー違反らしいぞ……」
「そなた、やけに馴染むのが早いな……」
「お前とは生まれが違うのでな……モグモグ、飲むか?」
と半分、口をつけたカップ酒をクラヴィスはジュリアスに差し出した。
「む?地酒なのか? ワンカップナントカ……うっ、キツイ酒だ……下品な味……うう」
と言いながらも、ジュリアスは残りの酒を一気に煽った。ヤケである。
「ええい、まだ次元回廊は開かぬのか、パスハに信号は届いているのだろうな」
「ああ、辺境の星なのでな、時間がかかるみたいだな……三ヶ月はかかるであろう……ずずーずぅぅ」
「何だとぉぉ〜、しばらくはここで野宿せねばならぬのかっ……うっぷ……先ほどの酒、私の体には合わなかったようだ……気分が悪い」
「そのようだな。私も目眩がしてきた……ガサッゴソッ」
「そなた……何をしているのだ?、うぃっく」
「食事が済んだら寝るのだ……お前にも貸してやろう、5枚でいいか」
「新聞紙ではないかーっ。このようなものにくるまり寝るのか、私がっ」
「ぐーっ、ぐがーっ」
「な……何っ。もう眠ってしまったのか……なんというヤツ……うっぷ。う……寒い……仕方あるまい、これにこうしてくるまって……ほぅ、案外暖かいものだな……ああ、今日は疲れ……た……Zzz」
初めての星で、ジュリアスは屈辱に喘ぎながらもクラヴィスの肩に寄り添い、新聞紙にくるまって眠りについた。
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