心の香り


 このお話は、水夢骨董堂細腕繁盛記・外伝『グラスの中の忍冬』続編のエピソードになります。お誕生日記念なのに、なんだか暗め……(^^;
 でも、ジュリアスと和解するための第一歩風に捕らえてもらえると嬉しいです。タイトルの「心の香り」というのは、好きな中国映画から取りました。
 ちょっと脱線しますけど、そのあらすじを書きますね。
 両親が離婚する事になり夏の間、田舎に住む元京劇の名俳優だった祖父の所に預けられることになった少年の物語。都会っ子の少年に、気難しい老人はまったく接点を見出せずにいる。大きな接点がある事を、その映画を見ている私たちは知っているわけですが、少年はまったくその事を老人に明かそうとしない。その事を知ったら、どんなにか老人は喜ぶだろう……早く言いなさいよぅぅ〜とジリジリしてしまう。そして最後の最後になって、爆発したようにその事が明かされる。少年の姿に載せて、様々な思いが天に向かって昇ってゆくような爽快さ……。
 この映画は、ビデオ屋さんにあってもたぶん手に取らない映画だと思うんです。退屈そうだし。 私も、中国語の授業で見せられなかったら、絶対見なかったと思う。
 心に残るいい映画でした。でまぁ、「心の香り」というタイトル、抽象的だけれど、なんとなくピッタリきたので拝借しました。
  それでは、再見。 

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迷いの森 聖地の森の11月