★コントロール・ルーム

 トムサ・ルマクトーの部下ヒジカタは、険しい顔つきのルマクトーを前に項垂れている。 ルマクトーの前のモニターは全部消えてしまっている。爆発によって各階に備え付けられていたカメラも一緒に壊れてしまったのだから。

「トムサ様、二階部分は、ほぼ全壊しました。防水シャッターも閉め終わりました。数名は脱出に成功したようです。ヤツらオルカを呼び寄せたみたいで……さすが守護聖ですな、魔法のような事をする」

「ふん、感心してる場合かいな、これだけ壊しといて一人も死んでないんか」

「二階の出入り口から外に出たのは六人のようです。一人はそこに眠っているようですし、残り二人は……」

 部下はソファでグッタリと眠っているマルセルを見て言った。とその時、爆発の衝撃で消えていたモニターのひとつが復活し、壁伝いに歩くジュリアスを映し出した。

「一階の最後のカメラやな……金色のひとりしかおらへんがな、黒いのはくたばったんかな? 何でもええわ。アイツさえ殺ったら俺の気も済む」

「しかし、トムサ様、そろそろ脱出の準備をなさいませんと。部下たちは全員、島から退去させました。私たちも早く出ませんと三十分後には満潮になりますし、最後の爆発が起こります」

「潜水艇の準備は出来てるんや、そこのハッチから直行やないか。お前は先に乗り込んどけばええ。俺はあのジュリアスともうちょっと遊んでからにする。俺の合図でいつでもハッチを開けられるようにしとけ」

 ルマクトーはコントロールルームの奧にある丸い大きなハッチを顎でしゃくって言った。

「承知しました」

 ヒジカタは頭を下げるとハッチのハンドルを目一杯回して開けた。身を屈めて中に入り込むと、もう一度ルマクトーに向かって声をかけた。

「次の爆発は三十分後ですぞ」

「わかった」

 


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