last scene:【カナリアの鳴く森で】

 

風のざわめきと同調するように聞こえる小川のせせらぎ。
何もかもが 陽に透かされて溶け合うような小さな場所。
ふいに風が揺らめく。
青と黄の羽根を持つ二羽のカナリアは、 突然現れた二人の気配に驚いて、居場所を草の上から木の枝へと移動する。

梢に仲良く並び、羽根をふんわりとふくらませる鳥たち。
だから、二人もまた、そっと寄り添う。

囁きを歌にしたように鳥たちは鳴き続ける。
だから、二人もまた、微笑み合う。

そして、 口づけを交わすように、突つき合う小さなくちばし。
だから、二人もまた……見つめ合い、そして……。

そして、その続きは二人には、まだ……。
けれど、また今度、ここで。

この カナリアの鳴く森で……。

END   
 

■あとがき■